2017年12月18日月曜日

江戸

江戸のリサイクル


幕末に日本を訪れた多くの外国人は、「道に芥が捨てられていない」「町が奇麗」と驚嘆。
幕府は統制とともに循環型社会を推進する
江戸のリサイクルは、「物は大事に使う」「芥になるものは使わない」当り前の暮らしと、幕府の勤勉、質素・倹約等を奨励し奢侈(贅沢)禁止を進めた政策、当時の芥の種類によって進みました。


江戸時代の焼き接ぎ職人(守貞謾稿より)の拡大画像


 江戸時代の焼き接ぎ職人(守貞謾稿より)の拡大画像
幕府は、定書で「百姓之着物之事、・・布(苧麻)・木綿たるべし」「町人の衣類、上下その分限に随って、倹約を守ること」と布地の質や派手な色合いも禁止、ついには、生活の豪奢な江戸、大阪の豪商を闕所処分にする等の見せしめの統制も。 
綱吉の側用人の柳沢吉保は川越藩で、草木の若芽を漉き込んだ苅敷、草木灰等の肥料や保水を雑木林から得る循環型の新田開発。幕府首脳の自然と共生する循環型社会の「政治哲学」は注目すべきことで、江戸の町には芥改役を置き、芥の処理。
リサイクル生業のネットワークで質素なシンプルライフ
生活自体がシンプで必要以上の物はない生活をする庶民の生活水準がリサイクルを進め、社会自体が物資の循環を生業・産業のネットワークを確立。  



一つ目は、紙屑・古着・古銅・古鉄・古器物・樽・灰・古傘・蝋燭の流れ・大便等を回収する業。二つ目は、それらを修理・再生する業。屑鋳鉄師、印肉仕入、臼目立て、下駄歯入れ、錠前・雪駄・算盤直し、瀬戸物焼き接ぎ、提灯・傘張替え、磨師、眼鏡の仕替え、煙管の竹管替える羅宇羅屋,桶・樽の輪替のたが屋、竈師。三つ目は、再生したものを販売する業。浅草紙・還魂紙、銭を緡に差す時に使う銭茣蓙売り,古着屋、襟や裏地を売る半襟屋、棕櫚箒・縄・タワシ売り等々。
多くの生活用品が回収・修理・再生・販売されました。、着物の場合、着物・浴衣寝巻下着おむつ→雑巾→燃料→灰→肥料等→綿花→着物・浴衣という徹底した循環型。

着物は古着だが意気なお洒落

棒手振りや職人等の庶民の住いは、「間口九尺奥行二間」の裏店。土間には竈。自前の台所用品は、包丁、杓文字,皿、笊、茶碗,箸、すり鉢くらい。そして、布団一式。
着るものは、日本橋や大伝馬町の高級呉服店では買えず、神田川沿いの柳原土手や日本橋富沢町で古着を買います。
幕府の統制に対して江戸っ子は、友禅や江戸紫の江戸鹿子、江戸小紋、歌舞伎で流行った団十郎茶等で意気地、貧しくても湯屋と髪結いを毎日欠かさぬ粋を見せました。

「江戸の朝炊き」寒さ対策
食事の主食米は、「江戸の朝炊き」。一日分のご飯を炊き、昼は、朝の残りの冷や飯で残りの汁物などのぶっかけ飯。夜は早く寝るために食べないことも。裏店を出れば、蕎麦,天婦羅、寿司等の屋台もあり、天婦羅を食べ「天ぷらの指を擬宝珠へ引んなすり」と屋台で食べる江戸っ子たち。

当時高給取りの大工の手取りは一日540文位。米代一日三食茶碗3杯で約315文、豆腐14文・納豆4文、鮭の切り身12文、味噌・醤油17文…総計160文位(一文に20円かけると大体今の金額)
豆腐は今の豆腐の大きさの46倍ほどで、天明の飢饉の頃からでたベストセラー「豆腐百珍」」・・・・等で料理の仕方を工夫して豊かにします。  
江戸時代は、「江戸小氷期」。寒ければ、肌襦袢の上に長襦袢、下は股引に足袋(八丁堀の旦那のように毎日紺足袋は替えられない)の重ね着。それで耐えられなければ、湯たんぽや懐炉で暖まりました。わざと薄着をする「伊達の薄着」で冬を通す男衆も。
明かりに使う「百日蝋燭」は一本200文、匂わない、油は値が高く「早寝が得」。火事の多い江戸では、穴倉に家財を埋めて逃げる、だから江戸の町の十分の一は穴だったと。

裏店の「金の生る木」
 裏店の井戸と便所は共同使用。通例、大三か所、小一カ所。大小を分けて、大の方は葛西船で農民に肥料として売り、家守が共益金として長屋の管理と年始の店子への餅配り等
に使用した「金の生る木」。特上は幕府や大名の勤番者の「きんばん」、上は、町の中
にある公衆便所の「辻肥」、裏店の「町肥」等々、大にも値段の違いがありました。
出たごみは裏店に芥溜を作り生ごみ(肥料に)とその他に分け、町内のごみの集積場に、そ
れを芥船で、永代島や深川洲崎十万坪の埋め立てに。

循環型を築き上げた江戸時代
江戸社会は、1700年当時の人口世界シェア5%を占めた3000万人、幕末のGDPは、米国を一とすると、日本は1,75倍、英国2,8倍、阿蘭陀0,3倍という指標もあるほど。世界史的に大きな比重を占めた江戸は、貨幣経済を発展させ、自然と共生し循環型社会を当たり前にした社会でした。 


【読み】
(ごみ)
(かん)魂紙(こんし)(さし)差す時つかう(ぜに)茣蓙(ござ)売り
棕櫚(しゅろ)


2月の旬   イチョウイモ
                薬剤師 橋本紀代子 
 
先端がイチョウの葉のような形をしています。ヤマイモの一品種です。粘りが強くアクが少なく、変色しにくいのが特長です。
 関東ではヤマトイモとも呼ばれますが、関西で「ヤマトイモ」というとげんこつのようなツクネイモを指します。
 一般的にはとろろ汁に用いることから、ジネンジョ(自然薯)やナガイモなども含めてとろろイモといいます。
 原産地は中国で、紀元前から栽培されています。日本での栽培も縄文時代後期から。収穫は1112月です。
 イチョウイモはでんぷんの消化酵素であるアミラーゼが多く、「ジオスゲニン」という天然のステロイド、疲労回復に効果のあるビタミンB群やビタミンCも含まれます。
 漢方で山薬(さん やく)と呼ばれるナガイモは滋養強壮、下痢を止める、夜間頻尿を改善するなどの働きがあるとされていますが、イチョウイモにも同じ効果があります。

おいしい食べ方と保存法
 とろろ汁は、すりおろしたイチョウイモに冷ましただし汁を加えます。だし汁を冷ますのは、消化酵素が熱に弱いからです。
 酢のもの、煮物、スープ、芋がゆ、油炒め、ソバやかまぼこのつなぎ、お菓子にも用います。
 イチョウイモをすりおろし、鶏ササミ、シイタケ、ニンジン、香りのよい野菜を加え、好みの味をつけ、丸めて油で揚げたりハンバーグのように焼くと、メインのおかずができます。
 生食はじんましんやぜん息を引き起こすことがあるので、アレルギーの有無がわからない乳幼児は食べないほうが安全です。保存は新聞紙にくるみ、冷蔵庫に。

【「食べもの通信」12月号より転載】

2017年11月2日木曜日

          11月の旬 ナガネギ 
          薬剤師 橋本紀代子
 東日本では白い部分が多い根深ネギ(白ネギ)、西日本では、おもに緑の部分を食べる葉ネギ(青ネギ)が一般的です。ほかに、香りの強いネギ、小ネギ、軟らかいネギ、太ネギ、甘味の強いネギなど、全国で多くの伝統品種が栽培されています。
 原産地は中国西部、モンゴル辺りの草原です。中国では数千年前から栽培され、日本に伝来したのは5世紀頃です。
 旬は冬。寒くなると甘みが増します。出荷量が多いのは千葉、埼玉、茨城などの各県です。
 強い香りは「アリシン」という成分です。ビタミンB1の吸収を良くし、消化液の分泌を助け、血管をひろげて血流を改善し、抵抗力を高めます。
 緑色の部分には、ビタミンAやミネラルが多く含まれています。さらに、緑の葉の内側にあるぬめり成分「ヌル」は、免疫力をアップさせます。
 漢方ではネギの白い部分を葱(そう)(はく)といい、発汗、解熱、健胃、喉の痛みをやわらげる、気持ちを安定させるなどの働きがあるとされます。

おいしい食べ方と保存法
 風邪の初期にはみじん切りにしたネギ、おろしショウガ、梅干し、削り節などにみそを加え、熱湯を注いで飲みます。
 お好み焼きの「ネギ焼き」やネギラーメンには、青ネギをたっぷりのせます。ネギの卵とじは斜めに切ったネギを少しの油で炒め、だししょうゆをかけて溶き卵でとじます。
 豆腐ステーキは豆腐を1㎝の厚さに切り、水気をとって油で両面を焼き、きざみネギと削り節をのせ、しょうゆをかけて蒸し焼きにします。ネギの保存はラップでくるみ、野菜室に。           【「食べもの通信」11月号より転載】

2017年10月13日金曜日

                    10月の旬  
            シイタケ
                   薬剤師 橋本紀代子
 コナラ、クヌギ、シイなどの枯れ木に生える木材腐朽菌の一種です。独特の香りと味があります。
  中国、朝鮮、フィリピン、日本などに分布しています。日本での栽培は、江戸時代中期からといわれています。干しシイタケは原木栽培されたものが多く、大分県が圧倒的な生産量を誇ります。生シイタケは菌床栽培が主流で、生産量が多いのは徳島県、北海道などです。
 シイタケには日光(紫外線)に当たるとビタミンD2に変化し、骨の形成を助けるエルゴステロールが豊富に含まれているため、骨粗しょう症などの予防に役立ちます。
 エリタデニンやフィトステリンは、血液中のコレステロールを掃除し、動脈硬化、糖尿病、老化防止に効果があります。
  日本の民間療法では、きのこ類は不老長寿やがんの薬とされ、免疫力を高め、抗がん作用をもつといわれる成分の研究もおこなわれています。
おいしい食べ方
 新鮮なシイタケは、網焼きにしてそのまま、あるいは少量のしょうゆやレモン汁などでいただきます。バターで炒めてポン酢で食べたり、肉詰め、鍋料理、天ぷら、炒めものにしても。和食の総菜や中華料理、西洋料理にもよく合います。
 干しシイタケは水に浸け、冷蔵庫で1晩置いて戻しますが、空気を抜くことができる容器に水と一緒に入れると、5分で戻ります。
 戻し汁にはうま味のもとや薬効成分が多く、「シイタケ水」として飲む健康法もあります。お吸い物や煮物のだしにして使い切りましょう。

【「食べもの通信」10月号より転載】

2017年8月31日木曜日

          9月の旬  クリ
                                      薬剤師 橋本紀代子 
  日本人は縄文時代からクリを栽培し、食用にしてきました。子どものころ、山で拾ったクリを生で食べるとポリポリと音がして、ゆでると濃い味がしました。祖母がせいろで蒸してくれたクリおこわの味も、懐かしく思い出されます。
 現在、売られているクリはシバグリを改良したニホングリが多いようです。大きくて粘りがありアクが少ないが、渋皮がむきにくく少し手間がかかります。
 出荷は茨城県が飛び抜けて多く、愛媛県、熊本県と続きます。
 クリのおいしさは何といってもあの甘味と歯ごたえです。甘味のもとは、ショ糖やブドウ糖。糖質の代謝を促すビタミンB1、 B2、ナイアシンを含み、疲労回復の効果が期待できます。ビタミンCが豊富ででんぷんに守られているため、加熱しても損失が少ないのも特長です。
 食物繊維も多く、便秘の改善にもおすすめ。渋皮に含まれるタンニンには抗酸化作用があり、動脈硬化や老化を防ぎ、血流を良くする働きがあります。
 漢方では、クリは胃腸を丈夫にし、足腰がしっかりする働きがあるとされています。
おいしい食べ方と保存法
 クリの下ごしらえは熱湯で3分ゆでて、そのまま30分浸けておき、鬼皮と渋皮をむきます。渋皮煮は重曹を加えて何度もゆでこぼしたら、砂糖で煮含めます。
 生グリは、鬼皮に穴や黒ずみがあるものを除き、洗って水気を取り、新聞紙にくるんでチルド室に入れると1週間保存できます。ポリ袋に入れて冷凍した場合は、使うさい凍ったまま熱湯で煮ます。ただし崩れやすくなるので、甘露煮などクリの形を生かした料理には向きません。
【「食べもの通信」9月号より転載】


2017年7月29日土曜日

すみだ北斎美術館探訪記
工藤 義弘(東京革新懇代表世話人、前都教組委員長)
 
昨年1122日、墨田区亀沢二丁目の緑町公園内に「すみだ北斎美術館」がオープン。江戸時代には、本所の割下水と呼ばれ、日本を代表する浮世絵師の葛飾北斎(1760年~1849年)や俳諧の小林一茶、歌舞伎作者の河竹黙阿弥などが住んでいた場所です。公園の前は「北斎通り」(以前は「南割下水通り」と呼ばれていた)と名付られ、通り沿いに「葛飾北斎生誕の地」と記された記念碑があり、通りの向こうは東京スカイツリーがそびえ立っています。
「すみだ北斎美術館」の外観は、江戸時代のイメージとはかけ離れ、近未来的な感じがします。「街に開き、地域住民の方々に親しまれる美術館」が、設計のコンセプトだということです。江戸時代では考えられない建物ですが、北斎ならこの建物を題材に、独創的な絵を描くに違いありません。
1989年から墨田区は、葛飾北斎をテーマとした文化施設を作ろうと構想し、「北斎館」(仮称)という名称で計画を推進。その間、墨田区役所1階ロビーに、北斎コーナーというものがありましたが、北斎を語るにはあまりにもさびしいものでした。約1800点もの多数の北斎作品などを収集し、約27年かけて「すみだ北斎美術館」は開館にこぎ着けたということです。
館内は、常設展示室と企画展示室に分かれています。
常設展示室は、7つのエリアで構成されており、北斎と「すみだ」とのかかわりから始まり、主な画号で6つのエリアに分けられた各期の代表作品(実物大高精密レプリカ)によって北斎の生涯を辿ることができます。ちなみに、北斎は生涯に30回も画号を変えています。
最初に目を引いたのは、肉筆画の「潮干狩図」でした。江戸時代には、旧暦3月3日の大潮の日が潮干狩に最も適した日とされていましたが、この潮干狩の様子を北斎は生き生きと描いています。
 「錦絵の時代」には、富嶽三十六景の中の代表作7点が展示されています。「凱風快晴」(赤富士)、「神奈川沖浪裏」「東海道保土ヶ谷」「山下白雨」など、だれもが一度は目にしたことのある作品ばかりです。大きさはB4ほどで、大判と呼ばれる浮世絵では最も一般的なサイズです。それぞれの作品については、タッチパネル式情報端末で解説がされており、より理解を深めることができます。
北斎は、75歳の時に、有名な絵本『富嶽百景』を描きましたが、この時に「画狂老人卍筆」と画号を変え、90歳で亡くなるまでこの号を使いました。その最晩年の傑作「富士越龍」が展示の最後にあります。「天我をして五年後の命を保たしめば真正の画工となるを得べし」というのが、北斎最期の言葉です。あと5年生かしてくれれば、画工として本質をきわめることができるというのは、真の芸術家でなければ言えない言葉です。「富士越龍」は、富士山から黒雲に乗り、龍が天に昇る姿を描いた作品です。北斎の言葉からも、画業を成し遂げ、今まさに北斎が天に昇って行くかのような感動を覚えます。
 また、常設展示室には、『北斎漫画』などの絵手本をタッチパネルモニターで紹介する「北斎絵手本大図鑑」などもありますが、とりわけ興味を引くのは、門人の露木為一が残した絵を元に再現された北斎のアトリエです。北斎が炬燵に半分入りながら絵を描き、一緒に暮らす娘の阿栄(「美人画ならかなわない」と北斎に言わしめた浮世絵師の葛飾応為)が傍らで見守っている姿が再現されています。
 企画展示室では、6月27日~8月20日の期間、開館記念展「北斎×富士 冨嶽三十六景 富嶽百景 揃いぶみ」と題し、「富嶽三十六景」「富嶽百景」の全図を3期に分けた企画展が行われています。北斎の絵は、これまでの日本画にあまり見られなかった「遠近法」を用いているのが特徴ですが、その技法が詰め込まれた個性的な富士を飽きることなく堪能できました。
 北斎は、浮世絵だけでなく漫画や挿絵画家など、大衆的な文化でも革新的な作品を多数数残しています。また、当時の文化だけでなく、その後の芸術作品や、現代アートにも内外で大きな影響を与えています。

「すみだ北斎美術館」で、そんな北斎に出会うことができるはずです。
ドキュメンタリー映画『OKINAWA1965 
2017年、沖縄は日本へ復帰して45年の節目を迎えました。沖縄の人たちは、基地なき平和な沖縄を目指して、「非暴力」を提唱し、平和運動を続けてきました。しかし、この50年、何が変わったというのでしょう。高江、辺野古の問題、そして昨年の20歳女性の殺害事件……。度重なる基地問題に暗澹たる気持ちになってしまいます。「戦争なき、平和な国への復帰」が、本来の本土復帰の目的だったはずなのに、実際は皆さんが知る通りです。
そんな今、沖縄の基地問題と本土復帰にかけた沖縄の人たちの想いを記録、検証したドキュメンタリー映画『OKINAWA1965』(監督/都鳥伸也、ナレーター/小林タカ鹿、製作/ロングラン・映像メディア事業部)の製作が進行しています。米軍による強制土地接収とたたかい、沖縄のガンジーとして知られる阿波根昌鴻さんが提唱した“非暴力”の平和運動。憲法9条の尊さを説き続けた元・海兵隊員アレン・ネルソンさん。1965年に行われた祖国復帰行進の最中に米軍トラックによる少女轢殺写真を撮影した嬉野京子さんなど、復帰前の沖縄にフォーカスを当て、挫けることを知らない沖縄の人たちが、未来をどのように切り拓こうとしているのか? それを映画のテーマとして、沖縄をキャメラを通して見つめます。
沖縄は、国内最大の地上戦が行われ、今でも基地と密接に関係している場所だからこそ、“いのちの大切さ”や“他者への思いやり”を語り掛けてくれています。憲法9条の価値が改めて問い直されている今、『OKINAWA1965』はもはや沖縄問題を超えて、日本全体で考えなければならない、平和への想いがたくさん詰まったドキュメンタリー映画です。
今年1210日に開催される東京母親大会での特別先行上映も決定し、一刻も早い完成が期待されています。
現在、作品の完成と全国上映に向けて、製作協力金一口5000円を募っております。目標は総製作費の600万円です。615日現在で3,058,500円の協力金が全国から集まっています。ぜひ、みんなで力を合わせてこの映画を成功させましょう。 

※ドキュメンタリー映画『OKINAWA1965』製作協力金についてのお問い合わせは0197670714(ロングラン・映像メディア事業部)へ。



8月の旬 モロヘイヤ
         薬剤師 橋本紀代子
 若い葉を食用にします。くせが少なく、刻む、加熱するなどすると粘りが出ます。旬は6~10月。栄養価に富み、夏バテ防止の効果があります。
 原産地はアフリカ北部からインド西部。5000年も前から栽培されているエジプトでは、各家庭にモロヘイヤ専用の大きな包丁があり、モロヘイヤスープがソウルフードです。
 日本での栽培は、1980年代から。主な産地は群馬県と愛知県ですが、現在は各地で栽培されています。
 粘りのもとはムチン。胃腸、目、鼻などの粘膜を保護するほか、コレステロールの吸収を抑える働きがあります。
 豊富に含まれるβ-カロテンは、体内でビタミンAに変化します。ビタミンB群、CE、カルシウムのほか、利尿作用のあるカリウムも多く、貧血を予防する鉄分や、抗酸化作用があるフラボノイドの一種「ケルセチン」も含まれています。
おいしい食べ方と保存法
 鮮度が命なので、早めにいただきます。下ゆでは軟らかい葉を茎からむしり取り、1%の塩を入れた熱湯で軽くゆでて、冷水にとります。刻んで納豆とあえて、豆腐にのせると美味です。
 モロヘイヤ丼は下ゆでしたモロヘイヤを細かく刻み、キュウリ、シラス干し、ゴマ、削り節、ポン酢とかき混ぜ、ご飯にのせます。パスタのソースや麺つゆに混ぜてもおいしいです。スープには、生のモロヘイヤを刻んで入れて、煮込みます。
 保存はさっとゆでて冷凍に。葉以外の部分には毒性があるので、子どもが誤って食べたり、葉の収穫中に花や果実が混じらないように気をつけましょう。
【「食べもの通信」7月号より転載】


2017年6月19日月曜日

       6月の旬 パクチー
                     薬剤師 橋本紀代子      

  独特の香りと豊富な栄養があり、「くせになる」と人気沸騰中です。「パクチー」はタイ語。中国では「香菜」、中南米では「シラントロ」、英語では「コリアンダー」とよばれます。中国パセリ、カメムシソウの別名も。
 葉、茎、根をハーブや葉菜として用います。花が咲いたあとにつく果実は柑橘系の香りで、漢方薬のほか、カレー、ラタトゥイユ、アップルパイなどのスパイスに用いられます。マイルドパクチー(岡山パクチー)という品種は香りが控えめで、甘味があり、茎が軟らかいことから食べやすいと注目されています。
 パクチーの原産地は地中海東部沿岸といわれ、古代文明の栄えたエジプト、ギリシャ、ローマ時代から栽培されてきました。日本での栽培は1980年代からで、現在の産地は静岡県、岡山県など。旬は3~6月ですが、温室栽培で1年中出荷されています。
 香りのもとはピネン、デカナールなどの精油で、若い葉や根に多く含まれています。消化や腹部膨満感を改善し、気分を落ち着かせます。βーカロテン、ビタミンEB2、美肌効果のあるビタミンCも豊富です。

おいしい食べ方と保存方法
 ベトナム料理のフォーや生春巻きに欠かせません。スープ、みそ汁、鍋料理には、茎や葉、根も用います。タイの代表的なスープ「トムヤムクン」には、根を軽く叩いて入れます。
 サラダやギョウザ、チャーハン、焼きそば、チヂミ、かき揚げ、パスタのソースにしても美味。パクチーしょうゆやドレッシングにも応用できます。
 保存は湿らせたキッチンペーパーで包み、ポリ袋に入れて冷蔵庫に。根は刻んで冷凍します。
【「食べもの通信」6月号より転載】


2017年4月27日木曜日


   5月の旬  新ジャガ

              薬剤師 橋本紀代子
 
 新ジャガの定義はさまざまです。一般的には、春先に出回る九州産のジャガイモを新ジャガといいます。

掘りたてを新ジャガという場合もあり、北海道産は710月に採れたものでも新ジャガといいます。皮が薄く、みずみずしく、 さっぱりした味です。

ジャガイモの原産地は南米。16世紀頃ヨーロッパに、日本には江戸時代初期に伝わりました。本格的な栽培は、明治時代の北海道開拓以降です。

ジャガイモの品種は世界に数千種あるといわれ、日本でも主な品種だけで約20種は生産されています。生産量が多いのは、群を抜いて北海道です。

ジャガイモに多く含まれるビタミンCは、でんぷんに保護されているので、加熱しても壊れにくいという特長があります。

ビタミンCには免疫力アップ、肌の潤いが増すなどの働きがあります。利尿作用があるカリウムも豊富です。主食になるほどですからでんぷんも多く含まれますが、穀類やほかの芋類に比べて、カロリーは低めです。 

おいしい食べ方と保存方法

新ジャガはきれいに洗い、十字の切れ目を入れ、皮ごとゆでる、蒸す、油で揚げるなどして、熱々を食べます。バターしょうゆやみそバター味も合います。

フライパンに、小さめの新ジャガ、トマト、ニ ンニク、アンチョビ、たっぷりのオリーブ油を入れ、ふたをして蒸し焼きにし、塩コショウで味を調え、バジルなどのハーブを散らすとイタリア風になります。

保存は新聞紙にくるみ、日光の当たらない常温の場所で。リンゴといっしょに保存すると発芽が抑えられます。

【「食べもの通信」3月号より転載】

 

2017年4月1日土曜日

4月の旬 コウサイタイ
        薬剤師 橋本紀代子
コウサイタイ(紅菜苔)は、ナバナの一品種です。葉柄や葉脈が赤紫色で、別名はベニナバナ(紅菜花)です。寒さに当たると、茎の色がさらに鮮やかになります。つぼみ、葉、茎を食用にします。独特の甘み、ぬめりがあり、苦味が少ないのが特長です。
 原産地は中国湖南省・湖北省辺りで、日本での栽培は1970年代からです。
 コウサイタイの赤紫色の色素は、ポリフェノールの一種「アントシアニン」で、抗酸化作用があり、がん予防に役立ちます。
 コウサイタイなどのナバナ類には鉄分、葉酸、ビタミンCなど、貧血に良い成分が多く含まれます。貧血の症状には、肩こり、疲れやすさ、息切れなどがあり、46人に1人が貧血といわれる女性におすすめしたい野菜です。カルシウムは100g中160・も含まれ、これは成人の1日の摂取目標の1/4に当たります。このほか、β-カロテン、食物繊維が多いのも特長です。
おいしい食べ方と保存法
 沸騰したお湯に2%の塩を入れ、酢を少し垂らします。茎は1分、軟らかい部分は20秒ほどゆでて、冷水にさらします。酢を入れないと、せっかくの赤紫色がゆで汁の中に出てしまいます。
 ゆでたコウサイタイはおひたし、カラシあえ、卵とじ、卵焼き、グラタン、パスタの具などにします。
 油で炒め、塩コショウで味を調えるだけでもおいしいです。炒めたり、揚げたりするときは、下ゆでは不要です。
 保存は湿らせた新聞紙にくるんでポリ袋に入れ、冷蔵庫で23日です。硬めにゆでて冷凍し、自然解凍してもオーケーです。
【「食べもの通信」4月号より転載】