2018年10月31日水曜日

食べもの

         11月の旬       
       ギンナン 
       
              薬剤師 橋本紀代子
イチョウの種子をギンナンといい、硬い殻の中の淡緑色の胚乳を食用にします。イチョウの渡来は中国からで、15世紀ごろといわれます。現在は中国、朝鮮半島、日本、ヨーロッパ、北米にも植えられています。
 全国で収穫されますが、愛知県稲沢市祖父江町のギンナンは、品質が良いことで有名です。愛知、大分の両県だけで全国の半分を生産しています。収穫は9~11月。収穫にゴム手袋を用いるのは、黄色の部分(外種皮)のにおいが強いのと、ウルシかぶれのようなアレルギー性接触皮膚炎になることがあるからです。
 ギンナンにはβ-カロテン、ビタミンCのほか、骨を作るマグネシウム、リン、貧血予防の鉄などが含まれます。
 漢方や民間療法では咳、痰、夜尿症、二日酔いに効果があるとされます。ただし、中毒を引き起こすことがあります。メチルピリドキシンという有毒物質によるもので、めまい、嘔吐(おうと)、けいれんなどの症状が出ます。3歳以下の子どもには食べさせないほうが安全です。おとなでも一度に多く食べ過ぎないようにしましょう。
おいしい食べ方と保存方法
 殻はギンナン割り器で、簡単にとれます。残った薄皮は軽くゆでる、油を薄く敷いて炒める、揚げるなどしても簡単にむけます。ギンナン割り器がないときは、殻つきのまま中火で炒り、殻がパリパリになったら、ハサミなどで割ります。
 茶わん蒸し、炊き込みご飯、串焼き、串揚げ、中華の炒めもの、鍋料理などに用います。ヒジキ煮やカレーにも合います。バターで炒めてコショウをかけても。
 長期保存する場合は、塩ゆでしてから冷凍します。「食べもの通信」10月号より転載
                      




2018年10月2日火曜日


                10月の旬 
                 クルミ 
    
               薬剤師 橋本紀代子
 
クルミは堅い核の中にある種子を食用にします。上品で独特な風味があり、人気の健康食材です。原産地は西アジアから東ヨーロッパで、現在は北半球の温帯地域に広く分布しています。日本で食べられているクルミの大半はカリフォルニア産か中国産です。
 日本では縄文時代の遺跡からも、クルミの殻が出土しています。現在、和グルミの産地は長野県が圧倒的で、東御市の生産量が際立っています。改良され、指の力で簡単に割れる品種もあります。収穫期は9~10月です。  
たんぱく質や脂質が豊富。リノール酸とα-リノレン酸が含まれ、血栓、発がん、肥満などを予防する働きがあります。疲労回復に良いビタミンB1、動脈硬化を予防するビタミンE、骨を強くするカルシウムやマンガン、貧血予防の鉄、寝つきを良くするメラトニンも含まれています。
漢方では体力をつけて便秘を治し、咳や頻尿に効き、黒髪になるといわれています。

おいしい食べ方 
フライパンなどで5~8分、殻ごと乾煎りすると口が開き、殻がむきやすくなります。 サラダのトッピングやクルミあえ、ユベシなどの菓子にも利用されます。「クルミ小女子」は刻んだクルミを乾煎りし、湯通しした小女子に砂糖、みりん、しょうゆを入れて、火にかけます。岩手県や宮城県の郷土料理「クルミ餅」は、クルミをすり鉢ですり、水、砂糖、塩、しょうゆで味をつけた「クルミだれ」を、つきたての餅に絡めます。
クルミは風味が落ちやすいので、食べる直前に割るのがベスト。油分が多く、食べすぎるとお腹を壊すことがあります。殻をむいたら保存は密閉容器に入れて冷蔵庫に。
【「食べもの通信」10月号より転載】