2019年4月23日火曜日


               5月の旬
                               ウルイ

                        薬剤師 橋本紀代子
  栽培され、お店で売られているウルイの和名は「オオバギボウシ」です。若い葉と葉柄は、昔から山菜として親しまれてきました。ギボウシの名前は、花のつぼみが欄干の擬ぎ宝ぼう珠しゅに似ているから。ウルイのほか、ウリッパ、山カンピョウ、ギンボともよばれます。うす紫色の花が美しいので、観賞用としてよく庭に植えられています。
 中国、朝鮮半島、日本に分布し、北海道から鹿児島県の屋久島まで広い地域に自生しています。山形県ではハウス栽培が盛んで、日光に当てずに軟白栽培された「雪うるい」が2月ごろから出荷されます。天然ものの旬は45月。
 ゆでたり包丁でたたくと、ぬめりが出ます。ぬめりのもとは粘液糖たんぱく質で、消化管の保護やリンパ球を増やして病気への抵抗力を高める働きがあります。肌に良いビタミンC、食物繊維も豊富です。
 民間療法では、体質改善を目的に全草の煎じ液を飲む、腫れものの妙薬として患部を洗うときにも利用します。

美味しい食べ方と保存法
 サクッとした歯触りと、アクが少ないのが特徴です。生で食べるときは長さ4・ほどに切り、トマトやキュウリなどとサラダに。生ハム巻き、浅漬け、塩コンブ漬けにしても美味です。
 ゆでるさいは葉は5秒、葉柄は15秒ほどでザルにあげ、うちわであおいで冷まします。お浸し、酢みそあえ、ゴマあえ、カラシあえ、マヨネーズあえなどのあえものにも。生のまま衣をつけて揚げる天ぷらは、ジューシーで甘さとほろ苦さを味わえます。
 「山カンピョウ」は葉柄をゆでてから天日干ししたもので、水で戻し、身欠きニシンとの炊き合わせや卵とじなどにします。
 保存は湿らせたキッチンペーパーでくるみポリ袋に入れて、冷蔵庫の野菜室に立てておきます。なるべく早く食べましょう。
【「食べもの通信」5月号より転載】


2019年4月2日火曜日


           4月の旬
                          ミョウガタケ
                              薬剤師 橋本紀代子

ミョウガの若い茎(偽茎)を軟白栽培し、最後に少し日光に当てて赤みを入れたものがミョウガタケです。鉛筆のような細長い形をしています。路地物は少し光に当たるので、先端が緑色です。
 爽やかな香りとシャキシャキとした食感、花ミョウガよりおだやかな味と香りが特徴です。旬は36月。東北地方では8月ごろまで出荷されます。原産地は東アジアの温帯地域です。
 独特な香りはα-ピネン類で、リラックス効果や発汗を促す作用、血液の循環を良くして冷えをとり、胃の消化を助けるなどさまざまな働きがあります。カリウム、カルシウム、ミネラル、ビタミンKなど、各種の栄養素を少量含みます。
おいしい食べ方と保存方法
 漢方では口内炎、喉の痛み、熱中症など、体にこもった熱を冷まし、生理不順などにも効果があるとされます。
 生のまま斜めに薄く切ったミョウガタケに削り節、しょうゆをかけるだけで、ご飯のおかずや冷ややっこの薬味になります。長めに切って、みそやマヨネーズをつけて食しても美味です。甘酢漬けにすると、紅色が美しく出ます。薄切りにして豚しゃぶにのせ、お好みのドレッシングでいただくと、さっぱりとした風味に。
 だし汁、しょうゆ、みりん、砂糖、タカノツメをひと煮立ちさせ、ミョウガタケを煮ふくめれば、キンピラに。中華風の炒めものやパスタの具にしても。
 斜め薄切りにしてかき揚げに。エンピツ状に切り、衣をつけて1本ずつ揚げると天ぷらに。すまし汁やみそ汁には、火を止めてから浮き実にします。
 保存は湿らせたキッチンペーパーにくるみ、ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室で23日。冷凍保存もできますがシャキシャキ感がなくなるので、みそ汁の実や炒めものに使いましょう。
【「食べもの通信」4月号より転載】