2018年7月24日火曜日

       8月の旬
        ナシ
                   薬剤師 橋本紀代子
 中国ナシや日本ナシ(和ナシ)はもぎたてを食用にしますが、西洋ナシは熟成させて食べます。どれにもザラザラした石細胞があります。「ナシ=無し」はイメージが良くないとの理由から、「アリノミ」と呼ぶこともあります。
 日本ナシは「二十世紀」などの青ナシと、「長十郎」や「幸水」などの赤ナシの2系統があり、300もの品種があります。風味が良いので、外国にも輸出されています。
 原産地の中国では、ナシは「百果の宗」と呼ばれます。日本へは弥生時代に入ってきました。現在、出荷量が多いのは千葉県、茨城県、福島県などです。
 ナシの90%は水分です。甘みのもとはショ糖や果糖。有機酸やアスパラギン酸は疲労回復に、カリウムは高血圧予防に役立ちます。たんぱく質を分解する「プロテアーゼ」には肉を軟らかくする働きがあり、食後にデザートとして食べると、消化を助けます。
 漢方では、熱感が強い風邪や熱中症などに良いとされます。風邪のときはナシをジュースにして飲みます。咳や痰には、ナシのジュースにハチミツとショウガのしぼり汁を加えて煮詰めたものが効きます。
おいしい食べ方と保存方法
 皮をむいて一口大に切ったナシを冷凍すればシャーベットに、果肉を煮詰めればナシジャムに、果汁はゼリーに最適です。砂糖、水、白ワイン、レモン汁のシロップで煮るとコンポート(果物のシロップ煮)になります。
 みそとしょうゆにすりおろしたナシを混ぜ、厚切りの豚肉を漬けて冷蔵庫に一晩置いて焼くと、肉が軟らかくなり、美味です。
 保存はポリ袋などに入れて、冷蔵庫の野菜室に。なるべく早く食べましょう。
【「食べもの通信」8月号より転載】