2026年4月24日金曜日

                5月の旬

              ヤングコーン

            薬剤師 橋本紀代子

トウモロコシの幼果(ようか)を摘み取ったもので、ベビーコーンとも呼ばれます。太さは1㎝ほどで長さは510㎝です。

 甘み、香り、歯触りが特徴で、薄い皮やひげも食べられます。旬は5~6月です。

 以前は輸入品か缶詰でした。国産品が出回るようになったのは1980年ごろからです。生産量が多いのは北海道で、千葉県、茨城県が続きます。なんといっても地元産は鮮度が良いので、おすすめです。

 トウモロコシの原産地は中南米。コロンブスの時代にヨーロッパに渡り、中国を経由して日本に導入されました。

 疲労回復に役立つビタミンB、皮膚や粘膜に良いビタミンB、胎児の成長に欠かせない葉酸などのビタミンB群のほか、ビタミンCEも豊富です。

 カリウムはむくみ解消に効果的です。カロリーはトウモロコシの3分の1で、便通を整える食物繊維も多く含まれています。

 

おいしい食べ方

 皮とひげを取り除いたら、1の熱湯に小さじ1の塩を加えた鍋に入れ、34分ゆでてざるにあげます。サラダや冷やし中華のトッピングにしましょう。

 皮を23枚残し、ひげをアルミホイルで包みます。グリルで外皮が焦げる程度に約7分焼き、しょうゆを垂らすと香ばしい香りがします。 

 みじん切りにしたニンニクを油で炒め、ヤングコーンにスナップエンドウ、ベーコンを加えてさらに炒め、塩こしょうまたは

バターしょうゆで味を付けても。

 薄皮に切り込みを入れて粉チーズを振りかけてオーブンで焼いたり、薄皮やひげを付けたまま天ぷらや肉巻きにもできます。

 ひげはサッとゆでてから冷水に浸し、水気を拭き取ってから食べやすい長さに切ります。マヨネーズにごま油を垂らしていただくと、味が引き立ちます。ひげ入りスープも美味です。 

 【「食べもの通信」5月号より転載】

2026年1月30日金曜日

2月の旬 カラシナ

                2月の旬 

               


         カラシナ

                   薬剤師 橋本紀代子

葉はギザギザした形で、ピリッとした辛味と香りが特徴です。寒さに当たると、辛さも香りも増します。

食用にするのは葉と茎で、種子の粉末が「和からし」です。カラシナの旬は124月。

中央アジア・西アジア原産で、日本へは中国を経由して弥生時代に伝わり、平安時代の書物にも記録があります。

辛味のもとはアリルイソチオシアネートという成分です。抗がん・抗菌作用があり、食欲増進の働きもあります。

緑黄色野菜で、β-カロテンが豊富です。β-カロテンは体内でビタミンAに変換され、肌や粘膜を丈夫にします。

カリウムが非常に多く、ナトリウムを排泄し、高血圧に効果。

葉酸、ビタミンC、ビタミンK、カルシウム、マグネシウムなどは、骨の健康に役立ちます。

漢方では体を温める働きがあるので、冷えによる胃痛や消化不良に有効とされます。

 

おいしい食べ方と保存法

柔らかい葉や茎は生のままサラダにします。

生のまま塩漬けにできますが、サッとゆでてから冷水に漬け、水気を切ってから塩漬けすると、一晩で浅漬けに。

お浸しは、茎、葉の順に塩ひとつまみ入れた熱湯で30秒~1分ゆで、冷水に取り色止めします。加熱し過ぎると辛味が減少します。水気を絞り、食べやすい大きさに切ります。

ゆでてから、ツナ、マヨネーズ、ポン酢しょうゆなどであえても美味です。みそ汁の具や煮物にも向いています。

ニンニク、ちりめんじゃこ、ざく切りしたカラシナをごま油で炒め、好みの味を付けても。

 

保存は湿らせたキッチンペーパーにくるみ、ポリ袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で2日くらいです。冷凍する場合は、サッとゆでてから水気を切り、小分けしてポリ袋に入れ冷凍庫に保存。

                【「食べもの通信」2月号より転載】

 

2025年12月16日火曜日

江戸庶民

      江戸庶民の働き方

 工藤芳弘(元都教組委員長)


「働いて働いて……」

2025年の新語流行語大賞年間大賞が、高市早苗首相の「働いて働いて働いて働いて働いてまいります」に決まりました。初の女性総裁としての覚悟を示す言葉であるなどと報道される一方で、「働き方改革」や「ワーク・ライフ・バランス」に逆行するものとして賛否を呼んでいます。

江戸の庶民がこの言葉を聞いたらどう思うか? 昔の人は朝から晩まで働いていたと思っている人が多いかもしれませんが、江戸庶民の働き方を調べてみると逆の実態が見えてきました。現代人の方がよほど働きすぎているのではないかということです。

江戸庶民の働き方

江戸庶民はどんな働き方をしていたのでしょうか? 江戸庶民の労働に対する考え方とその実態は、現代の働き方に多くの示唆を与えているような気もします。

結論から言えば、江戸時代の職人や商人の実労働時間は、現代よりもはるかに短かったということです。当時の記録を見れば、朝6時頃から働き始めて、午前10時頃に一度休憩を取り、昼食後の午後1時頃から午後4時頃まで働いて、それで一日の仕事は終了というのが一般的だったようです。 

江戸の朝は、4時から賑わう日本橋河岸から始まりました。基本的に、「日の出とともに起き、日の入りとともに休む」という自然のリズムに合わせた生活です。また、雨の日は基本的に休みという職業も多かったようです。

これらを考慮して労働時間を平均すると、1日の実働時間は6時間程度ではなかったかということです。朝6時頃とか午後4時頃というのは、便宜上今の時間帯に当てはめてみたものですが、今と違って9時から17時といった勤務時間の概念がなかったという方が正しいのかもしれません。

当然ながら季節や職種によって働き方の違いもあります。冬は陽が短いので、働く時間も短くなります。また、電気がない時代ですから、夜遅くまで働くことはありませんでした。

必要な分だけ働く


「今月の生活費を稼いだら、それ以上は働かなくてもよい」。これが江戸庶民の労働に対する考え方でした。余った時間は家族と過ごしたり、趣味を楽しんだり、地域の行事に参加したりしました。現代のように「もっと働く」という発想はなかったと思われます。つまり、必要な分だけ働いて満足する働き方だったということです。

また、「通勤」という概念もなかったと思われます。朝起きたらすぐに仕事場があり、疲れたらすぐに休める環境で、職住一体が当たり前でした。とりわけ商人や職人は仕事と生活の境界線が曖昧で、家族みんなが商売や職業に関わる生活の延長としての仕事でした。

「働く」という概念

江戸庶民には、「嫌な仕事でも我慢して、給料をもらう」という発想はなく、仕事自体が誇りでした。おそらく現代で言うところの「労働」とい概念はなかったのではないかと思われます。江戸時代には「生業」という言葉が使われており、それが働くということを表す言葉だったからです。つまり「生活を営むための仕事」ということです。

「足るを知る」

江戸庶民を一言で言えば、「足るを知る」ということではないでしょうか。「もっと稼ごう」「もっと働こう」という考えはなく、必要以上に欲張らず、適度なところで満足する。「もっと、もっと」ではなく「これで十分」ということです。「働いて働いて働いて働いて働いてまいります」と言う首相を、江戸庶民はどう受け止めるのでしょうか。

              月の旬 

        チコリ          

            薬剤師 橋本紀代子

 日 光を遮断する軟白栽培により、若芽を食用にするようになったのはベルギーが最初で、19世紀になってからです。ベルギーではシコンと呼ばれ、代表的な冬野菜です。シャキシャキした食感、芳香、ほろ苦さを味わいます。

 イギリスではチコリ、フランスではアンディーブと呼びます。 トレビスやラディッキオも同じ種で、品種が違います。

 チコリ酸はポリフェノールと酒石酸が結合したもので、強い抗酸化力があり、活性酸素の働きを抑え、肝臓の働きを良くするほか、高血圧や動脈硬化の予防に役立つといわれます。

 食物繊維のイヌリンは、コレステロールや食後の血糖値の上昇を抑えます。また、腸内環境を整えて免疫力をアップし、脂質代謝を改善します。

 香気成分や苦味成分は胃酸の分泌を促し、消化を助け、胃もたれや胸やけを防止します。

 レタスなどにも含まれるラクチュコピクリンは苦味成分の一つで、鎮静作用があります。ゴボウのような根を乾燥、焙煎、粉砕したものは「チコリコーヒー」と呼ばれ、ドイツでは糖尿病の改善に良いとされています。

 

おいしい食べ方と保存法

芯の部分に苦味が多いので、苦手な人は取り除きます。

 1枚ずつはがして舟形の器にし、ハム、チーズ、ディップなどをのせてオードブルにします。

 スープにするときは芽の根元を少し切り落とし、食べやすい大きさに切ります。コンソメ、ポタージュ、中華スープ、みそ汁などの具にもなります。

 食べやすい大きさに切ってからごま油で炒め、卵とじに。

 グラタンに用いる場合は、レモン汁を入れて下ゆですると、黒ずみを防げます。

 乾燥と冷気に弱いので、なるべくその日のうちにいただきます。どうしてもの場合はラップに包み、冷蔵庫の野菜室で保存。

    【「食べもの通信」1月号より転載】

 

2025年11月22日土曜日

                                                                             11月の旬

                              ハサイ(白菜)

                薬剤師 橋本紀代子

  冬の到来で、うま味が増すハクサイ。漬けものや鍋料理に大量に消費されています。

 古くからある野菜のように思われますが、日本に伝わってから100年とちょっと。日清・日露戦争の従軍兵が持ち帰ったといわれています。

 約95%が水分です。葉酸、ビタミンC、ビタミンK、骨や歯の形成に役立つカルシウムなどの栄養素が含まれています。緑の部分には、体内でビタミンAに変換されるβ-カロテンも。

 緑黄色野菜が老化防止で注目されるなか、長い間ハクサイなどの淡色野菜にはあまり光が当たりませんでした。それが覆ったのが1990年の「デザイナーフーズ」の発表です。アメリカ国立がん研究所が「がんを予防する効果をもつ可能性のある食品」としてアブラナ科の野菜を上位にランク付けしました。

 以後、イソチオシアネートなどのファイトケミカルが含まれるアブラナ科の野菜が注目されるようになりました。漢方では胃腸の働きを良くし、せき、むくみ、二日酔いなどに効果があるとされています。

 

おいしい食べ方

 ハクサイ鍋は、冬の定番料理。ざく切りしたハクサイ、斜め切りしたネギ、豚バラ肉を交互に重ねて酒を振りかけ、ふたをして蒸し煮に。肉に火が通ったら食べ頃です。たれは、ポン酢しょうゆにユズこしょうなどを入れ、鍋の中の野菜から出た水分で薄めます。

 浅漬けは、1㎝幅に切ったハクサイに2%の塩を加えて、もみ込みます。水分を捨てたら、薄くイチョウ切りしたレモンを入れて少しもむと、すぐに食べられます。

 食べやすい大きさに切った豚肉、ニンジン、シイタケ、タケノコ、ハクサイなどをゴマ油で炒めます。オイスターソース、塩こしょうで味を付け、水溶き片栗粉でとろみを付ければ中華風に。

    【「食べもの通信」11月号より転載】

2025年10月1日水曜日

        10月の旬

                シイタケ           

            薬剤師 橋本紀代子

 

 子どものころ、井戸端にシイタケのほだ木が立てかけてありました。自給自足のような生活がふと思い出されます。

 シイタケの栽培方法には、コナラ、クヌギ、シイなどの原木に菌を植え付ける「原木栽培」と、おがくずなどを詰めた容器の中に菌を入れる「菌床栽培」があります。

 干しシイタケは原木栽培されたものが多く、大分県が圧倒的な生産量を誇ります。生シイタケは菌床栽培が主流で、生産量が多いのは徳島県、岩手県、群馬県の順です(2023年)。

 干しシイタケのうま味成分は「グアニル酸」で、昆布の「グルタミン酸」との組み合わせでさらにうま味が増します。

 豊富に含まれるエルゴステロールが日光(紫外線)に当たると、ビタミンDに変化します。ビタミンDは骨の形成を助け、骨粗しょう症などを予防します。

 エリタデニン、フィトステリンは、血液中のコレステロールを掃除し、動脈硬化、糖尿病、老化防止に効果があります。日本の民間療法では、キノコ類は不老長寿やがんの薬とされています。

 

おいしい食べ方

 生シイタケは網焼きでそのまま、または少量のしょうゆやレモン汁などでいただきます。

 和・洋・中、どの料理にもよく合います。バターで炒めてポン酢で食べる、鍋料理、天ぷら、炒めものの具にしても。

 肉詰めのタネは、シイタケの軸、タマネギ、ショウガをみじん切りにし、ひき肉、塩、こしょう、溶き卵、片栗粉とよく混ぜます。

  シイタケ全体に片栗粉を振り、タネを詰めます。フライパンに大さじ1の油を引き、タネを下にして中火で3分、裏返したらふたをして弱火で7分焼きます。等量の砂糖・酒・みりん・しょうゆを混ぜたたれを、フライパンに入れて肉詰めにからめます。

 干しシイタケの戻し汁はお吸いものや煮もののだしに。

    【「食べもの通信」10月号より転載】


2025年9月2日火曜日

                 9月の旬 

       サツマイモ

              薬剤師 橋本紀代子 

 メキシコなどでは、3千年も前から栽培されていました。コロンブスの時代にヨーロッパに渡り、日本への伝来は中国経由で17世紀初頭です。最初に沖縄、鹿児島などに伝わったことから「琉球イモ」「薩摩イモ」とよばれていました。

 江戸中期には救荒作物として栽培が推奨され、全国に普及。現在栽培されている品種は約60種類です。ねっとり系の「紅はるか」「安納芋」、ホクホク系の「紅あずま」「鳴門金時」などのほか、焼酎の原料にもなる「黄金千貫」などが人気です。

 でんぷんのほかに甘味のもとのブドウ糖や果糖などが多く、主食にもなります。

 サツマイモのビタミンCは比較的熱に強く、8割も残ります (皮付き生25㎎ 蒸し20

 皮なし生29㎎ 蒸し29㎎)。

 豊富な食物繊維は便秘にも有効です。サツマイモを切ったときに染み出る白い液はヤラピンで皮の近くに多く、食物繊維とともに便通を改善しますが、胸焼けの原因ともいわれます。

 利尿作用のあるカリウムや骨を作るカルシウムも豊富です。 果肉が黄色いサツマイモには、β-カロテンが含まれています。

おいしい食べ方と保存法

 掘り起こしたサツマイモは、洗わずに1個ずつ新聞紙に包み、1015℃で追熟させると、でんぷんが糖化し甘味が増します。

 炊飯器の釜に水1合を入れ、皮付きのサツマイモ2本を68個に切って入れ、炊飯のスイッチをオンにするだけで、おいしいおやつに。サツマイモご飯は、米2合、塩小さじ1、サツマイモ中1本を用意します。皮付きのまま1㎝のサイコロ状に切ってから水にさらし、米・塩と一緒に炊飯器で炊きます。

 八丈島では生のサツマイモの皮をむき、薄くまたはスティック状に切って2週間ほど乾燥させたものを「きんぼし」といい、きんとんなどにします。

    【「食べもの通信」9月号より転載】