3月の旬
ハマグリ
薬剤師 橋本紀代子
身が軟らかく、味は濃厚。古くから縁起物とされ、結婚式やひな祭りに欠かせません。
浜に生息し、クリ(栗)の形なので「ハマグリ」とよばれます。北海道南部以南、朝鮮半島、中国、台湾などに広く分布しています。浅瀬に生息するものは別名「ホンハマ」とよばれますが、干拓や護岸工事、水質汚染で激減しています。
現在は国内流通のおよそ9割が中国産のシナハマグリ。国産の半分以上は茨城県から千葉県の太平洋沿岸でとれる外洋性のチョウセンハマグリ(汀線蛤。日本の在来種)です。
産卵期に向けて栄養を蓄える冬から春の時期が旬です。
たんぱく質が豊富です。うま味成分はグリシンやグルタミン酸などのアミノ酸類、グリコーゲン、コハク酸などです。
鉄、カルシウム、亜鉛、マグネシウムなどのミネラルも豊富。血中の余分なコレステロールを抑え、肝機能を高めるタウリン、ビタミンB群も多く含まれます。
漢方では貝殻を文蛤(ぶんごう)といい、喉の渇き、寝汗、二日酔いに良いとされています。
おいしい食べ方
砂抜きは平らで深めの容器にハマグリを並べ、3%の塩水を殻がかぶる程度に入れて、暗い場所に6時間ほど置きます。
焼きハマグリにするときは、合わせ目の突起を包丁で削ると、口が開かずに汁もこぼれません。2~3分蒸し煮し、身のついているほうにしょうゆをかけ、オーブントースターで1分焼きます。
ひな祭りにはナバナや塩漬けのサクラの花をあしらったすまし汁にすると、華やかな一品に。
酒蒸しはフライパンにハマグリを並べ、酒100mlと水50mlを入れ、ふたをして強火に。殻が開いたらふたをとり弱火で3分煮ます。バター、塩・コショウをしてふたをし、1分蒸し煮にします。
ブイヤベース、クラムチャウダー、パエリアなどにしても。
【「食べもの通信」3月号より転載】