10月の旬
シイタケ
薬剤師 橋本紀代子
子どものころ、井戸端にシイタケのほだ木が立てかけてありました。自給自足のような生活がふと思い出されます。
シイタケの栽培方法には、コナラ、クヌギ、シイなどの原木に菌を植え付ける「原木栽培」と、おがくずなどを詰めた容器の中に菌を入れる「菌床栽培」があります。
干しシイタケは原木栽培されたものが多く、大分県が圧倒的な生産量を誇ります。生シイタケは菌床栽培が主流で、生産量が多いのは徳島県、岩手県、群馬県の順です(2023年)。
干しシイタケのうま味成分は「グアニル酸」で、昆布の「グルタミン酸」との組み合わせでさらにうま味が増します。
豊富に含まれるエルゴステロールが日光(紫外線)に当たると、ビタミンD₂に変化します。ビタミンD₂は骨の形成を助け、骨粗しょう症などを予防します。
エリタデニン、フィトステリンは、血液中のコレステロールを掃除し、動脈硬化、糖尿病、老化防止に効果があります。日本の民間療法では、キノコ類は不老長寿やがんの薬とされています。
おいしい食べ方
生シイタケは網焼きでそのまま、または少量のしょうゆやレモン汁などでいただきます。
和・洋・中、どの料理にもよく合います。バターで炒めてポン酢で食べる、鍋料理、天ぷら、炒めものの具にしても。
肉詰めのタネは、シイタケの軸、タマネギ、ショウガをみじん切りにし、ひき肉、塩、こしょう、溶き卵、片栗粉とよく混ぜます。
干しシイタケの戻し汁はお吸いものや煮もののだしに。
【「食べもの通信」10月号より転載】