9月の旬 クリ
薬剤師 橋本紀代子
日本人は縄文時代からクリを栽培し、食用にしてきました。子どものころ、山で拾ったクリを生で食べるとポリポリと音がして、ゆでると濃い味がしました。祖母がせいろで蒸してくれたクリおこわの味も、懐かしく思い出されます。
現在、売られているクリはシバグリを改良したニホングリが多いようです。大きくて粘りがありアクが少ないが、渋皮がむきにくく少し手間がかかります。
出荷は茨城県が飛び抜けて多く、愛媛県、熊本県と続きます。
クリのおいしさは何といってもあの甘味と歯ごたえです。甘味のもとは、ショ糖やブドウ糖。糖質の代謝を促すビタミンB1、 B2、ナイアシンを含み、疲労回復の効果が期待できます。ビタミンCが豊富ででんぷんに守られているため、加熱しても損失が少ないのも特長です。
食物繊維も多く、便秘の改善にもおすすめ。渋皮に含まれるタンニンには抗酸化作用があり、動脈硬化や老化を防ぎ、血流を良くする働きがあります。
漢方では、クリは胃腸を丈夫にし、足腰がしっかりする働きがあるとされています。
おいしい食べ方と保存法
クリの下ごしらえは熱湯で3分ゆでて、そのまま30分浸けておき、鬼皮と渋皮をむきます。渋皮煮は重曹を加えて何度もゆでこぼしたら、砂糖で煮含めます。
生グリは、鬼皮に穴や黒ずみがあるものを除き、洗って水気を取り、新聞紙にくるんでチルド室に入れると1週間保存できます。ポリ袋に入れて冷凍した場合は、使うさい凍ったまま熱湯で煮ます。ただし崩れやすくなるので、甘露煮などクリの形を生かした料理には向きません。
【「食べもの通信」9月号より転載】
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