2020年3月30日月曜日


                               4月の旬

                                イチゴ
                 橋本紀代子 薬剤師

 イチゴの旬はいつでしょう? 年末から5月ごろまで、さまざまな品種が店頭に並びますが、本来の旬は45月です。
 「あまおう」「紅ほっぺ」「とちおとめ」「さちのか」「さがほのか」など多くの品種があり、各県が品種改良を競い合っています。食べるのは花托が肥大した部分で、偽果とよばれます。表面のツブツブが果実で、果実の中に種子があります。
 イチゴは江戸時代末期にオランダ経由で伝わりましたが、本格的な栽培は明治になってからです。生産量が多いのは栃木、福岡などで、熊本、静岡、長崎、愛知などの各県が続きます。
 イチゴはビタミンCの宝庫です。ビタミンCは免疫力を高め、ウイルスから体を守ります。肌を美しく整え、風邪の予防、動脈硬化にも有効です。貧血を予防する葉酸、疲労回復に役立つクエン酸も含まれています。
 食物繊維のペクチンは便通を整えます。「フラボノイド」の「アントシアニン」という色素は、発がんを抑えます。カリウムが多く、高血圧にも効果があります。
おいしい食べ方と保存方法
 生で食べるのが一番なので、できるだけ農薬や消毒薬などを使用していないものを選びましょう。水で洗うとビタミンCが流れ、傷みやすくなるので、食べる直前にへたを付けたまま洗います。
 先端ほど甘味が強いので、より甘味を楽しむには、酸味の多いへたのほうから食べるのがおすすめです。小粒のイチゴは砂糖で煮てからレモン汁を加えてイチゴソースを作り、パンケーキなどにのせていただきます。
 日持ちしないので、なるべく早く食べましょう。冷凍するときは、砂糖をまぶしておきましょう。半解凍でつぶしてイチゴミルクにしたり、スムージーやジャムにしていただきます。     【「食べもの通信」4月号より転載】


2020年3月2日月曜日

                  3月の旬

                              不知火
                            薬剤師 橋本紀代子
 1972年に「ポンカン」と「清見オレンジ」の交配で生まれたのが、「不知火」という品種です。皮がむきやすく、小袋(じょうのう)ごと食べられ、果汁もたっぷりです。
 ヘタの部分に「デコ」とよばれる出っ張りがあり、この特徴的な形から「デコポン」のよび名が広く知られていますが、「デコポン」はJA加盟の農家が栽培した、「不知火」のなかでも糖度や酸度などの厳しい基準をクリアしたものにしか使えない商標登録された商品名です。JA加盟していない果樹園のなかには、差別化、ブランド化を図るために独自の商品名を付けているものもあります。
 「不知火」の露地物の収穫時期は2~4月。収穫直後は酸味が強いため、1カ月ほど貯蔵して追熟させ、酸味が減ったころに出荷されます。「不知火」の生産量が多いのは熊本、愛媛、和歌山の各県です。
 β-クリプトキサンチンには骨粗しょう症予防や抗酸化作用があり、酸味のもとのクエン酸には疲労回復効果があります。
 ビタミンCと「シネフリン」には、風邪予防の効果があります。漢方では、ミカン類は昔から疲労回復、風邪や二日酔いの予防に用いられてきました。
おいしい食べ方と保存方法
 皮をむいて小袋のまま食べます。小袋の状態で半分に切って、キャベツやタマネギとあえてサラダやマリネに。果汁をしぼってジュースやゼリーにしたり、ケーキやタルトのトッピングにも合います。
 皮は熱湯で煮てから水に浸けてアクを抜き、砂糖を加え、とろみが出たらレモン汁を加えて、マーマレードにします。
 実、果汁、酒、みりん、しょうゆで作ったソースは、豚肉や鶏肉料理に合います。
 保存は冷暗所に置くだけです。気温が高くなったら、ポリ袋に入れて冷蔵庫に入れます。
【「食べもの通信」3月号より転載】