10月の旬
アケビ
薬剤師 橋本紀代子
熟すと薄紫色の厚い果皮がぱっくりと割れ、乳白色で透き通るような果肉が現れます。ねっとりした食感と優しい甘味が特徴です。私が子どものころはごちそうで、無数の種を舌で選り分け、吐き出すとき遠くに飛ばして遊んだものです。
原産地は日本、中国、韓国など東アジアです。日本ではミツバアケビ、アケビ、ゴヨウアケビが全国の山に自生しています。
市場品のほとんどは山形県から出荷され、旬は9~10月です。
果肉にはビタミンCが多く、風邪予防、疲労回復、美肌効果があり、貧血に良い葉酸も含まれます。果皮には高血圧予防のカリウムが多く含まれています。
漢方ではアケビのつる性の茎を木通(もくつう)といい、漢方の処方の中に入れて用います。生理不順やむくみ、頭痛、神経痛、関節の痛みなどに効果があるとされています。
肥満防止効果があるとされるアケビ油は、高級食用油です。
おいしい食べ方と保存方法
果肉はそのまま食べるのが一番。シャーベットにするには、水または牛乳を入れたボウルの上に、果肉を入れたざるを重ね、泡立て器でかき混ぜて種を除き、冷凍庫で凍らせます。
皮には少し苦味があるので、塩でもむ、ゆでる、水にさらすなどして、あくを抜いてから調理します。皮を天ぷらにするさいは、薄く削ぎ切りにし、水にさらして水気を拭きとり、衣を付けて揚げます。みそ炒めは皮をゆでてから水にさらし、油で炒め、みそとみりんで味を付けます。ナスと炒めると、さらに美味です。皮の中に肉詰めの具材(鶏ひき肉、きのこ、ゴボウ、みそ、砂糖を混ぜる)を入れ、じっくりと揚げ焼きしても。
アケビの新芽やつる先の若葉はゆでて水を切り、ゴマ、からし、マヨネーズなどであえます。
保存はポリ袋に入れ、冷蔵庫で3~5日です。
【「食べもの通信」10月号より転載】
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