2022年7月25日月曜日

                   8月の旬 

                   カボス             

                    薬剤師 橋本紀代子 

 すがすがしい香り、すっきりした酸味が特長です。日本に約40種類ある香酸柑橘*の一つです。漢字では「香母酢」。熟すと黄色になりますが、緑色をした未熟なほうが香りが強く、需要もあります。

 現在の大分県辺りでは、300年前から栽培されていたようです。旬は8月下旬から10月中旬。

 ビタミンCは細胞の酸化を防ぎ、がんや動脈硬化を予防します。風邪や肌荒れにも有効です。葉酸やパントテン酸などのビタミンも含まれています。酸味のもとは疲労回復効果があるクエン酸です。

 果皮にはスダチ特有の「スダチチン」(ポリフェノールの一種)が含まれ、脂肪代謝を促進します。

 おいしい食べ方と保存法

 幼果はまだ果汁がほとんどないので果皮をすりおろすか、そいだ表皮を細かく切り、吸いものの吸い口や薬味にします。

 緑果は湯豆腐、冷ややっこ、焼きマツタケ、土瓶蒸し、茶碗蒸し、鍋料理、みそ汁などに添えて、果汁をしぼります。

 果汁はフグ、イワシ、サンマ、マグロ、エビなどとも相性が良いので、刺し身やカルパッチョ、焼き魚、から揚げなどにも使います。

 冷やしうどんはめんつゆに冷やしたうどんを入れ、カボスの果汁をたっぷりかけます。輪切りのカボス、大葉、大根おろしをのせればできあがり。

 炊きたてのご飯(1合)に、カボス1個分の果汁とすりおろした果皮を混ぜ、さらにゴマ油12滴と塩をひとつまみ入れて混ぜ合わせます。薄切りにしたカボスとキュウリをのせて、刻んだ大葉を散らせばカボスご飯の完成です。

 保存は、ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室で2週間ほど。しぼり汁は製氷皿で冷凍し、薄くそいだ果皮は刻んで冷凍すると、長期間保存できます。

【「食べもの通信」8号より転載】

 

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