2022年10月4日火曜日

        9月の旬

         ナツメ       

薬剤師 橋本紀代子 

リンゴのような形で、重さは5gほど。中国には30g超の大きな実をつける種類もあります。かじるとリンゴに似た食感で、甘酸っぱい味がします。

 「ナツメ」とよばれるのは、夏に木の芽が出るから。抹茶を入れる茶道具「ナツメ」は、ナツメの果実と形が似ていることから名付けられました。

 中国には「13個食べると老化しない」という言い伝えがあり、路地やスーパーなどで山積みにして販売されています。

 日本には奈良時代に入ってきたといわれています。生産量が多いのは福井県で、旬は910月。干しナツメは中国などから大量に輸入されています。 

 生のナツメは、肌の健康に良いビタミンCを多く含有。干しナツメに多いパントテン酸はストレスへの抵抗力を高め、心身の疲れに有効です。カリウム、マグネシウム、リン、貧血予防に効果的な鉄、食物繊維などが多いのも干しナツメです。

 漢方では乾燥させた果実を大棗(たいそう)といい、葛根湯など多くの処方に配合されます。際立つのは精神安定作用で、不安やイライラに効果があるとされています。体を温め、元気が出るなどの働きもあります。

おいしい食べ方と保存法

 熟した果実を水で洗い、皮ごとかじって食べます(種は出す)。

レモン煮は、鍋に生の果実500g、水1ℓ、てんさい糖200gを入れてふたをし、弱火で30分コトコト煮ます。レモン1個分の果汁を加えてさらに10分煮るとできあがりです。

 干しナツメはそのままお茶受けに。中国では種を除き、クルミを挟んだお菓子が有名で、自然な甘さが魅力です。刻んだ干しナツメ510gをお茶パックに入れ、1ℓの熱湯を注いで15分置くと「ナツメ茶」になります。

 生の果実はポリ袋に入れて、冷蔵庫の野菜室で保存します。なるべく早めに食べましょう。

【「食べもの通信」9号より転載】

 

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