5月の旬
ウルイ
薬剤師 橋本紀代子
栽培され、お店で売られているウルイの和名は「オオバギボウシ」です。若い葉と葉柄は、昔から山菜として親しまれてきました。ギボウシの名前は、花のつぼみが欄干の擬ぎ宝ぼう珠しゅに似ているから。ウルイのほか、ウリッパ、山カンピョウ、ギンボともよばれます。うす紫色の花が美しいので、観賞用としてよく庭に植えられています。
中国、朝鮮半島、日本に分布し、北海道から鹿児島県の屋久島まで広い地域に自生しています。山形県ではハウス栽培が盛んで、日光に当てずに軟白栽培された「雪うるい」が2月ごろから出荷されます。天然ものの旬は4~5月。
ゆでたり包丁でたたくと、ぬめりが出ます。ぬめりのもとは粘液糖たんぱく質で、消化管の保護やリンパ球を増やして病気への抵抗力を高める働きがあります。肌に良いビタミンC、食物繊維も豊富です。
民間療法では、体質改善を目的に全草の煎じ液を飲む、腫れものの妙薬として患部を洗うときにも利用します。
美味しい食べ方と保存法
サクッとした歯触りと、アクが少ないのが特徴です。生で食べるときは長さ4・ほどに切り、トマトやキュウリなどとサラダに。生ハム巻き、浅漬け、塩コンブ漬けにしても美味です。
ゆでるさいは葉は5秒、葉柄は15秒ほどでザルにあげ、うちわであおいで冷まします。お浸し、酢みそあえ、ゴマあえ、カラシあえ、マヨネーズあえなどのあえものにも。生のまま衣をつけて揚げる天ぷらは、ジューシーで甘さとほろ苦さを味わえます。
「山カンピョウ」は葉柄をゆでてから天日干ししたもので、水で戻し、身欠きニシンとの炊き合わせや卵とじなどにします。
保存は湿らせたキッチンペーパーでくるみポリ袋に入れて、冷蔵庫の野菜室に立てておきます。なるべく早く食べましょう。
【「食べもの通信」5月号より転載】