6月の旬
大阪シロナ
薬剤師 橋本紀代子
「大阪白菜」と書きます。ハクサイの仲間の交雑種で、シロナ、テンマナ(天満菜)、シャクシナともよばれます。葉は卵形で、うす緑色。葉柄は白です。アクやクセがほとんどなく、火を通すとしんなりと軟らかくなります。
奈良時代以前に中国から渡来したといわれ、江戸時代から大阪、京都、奈良方面で栽培されてきました。大阪府が認証する「なにわの伝統野菜」の一つです。
ハウス栽培も盛んで1年を通して、主に近畿地方で流通しています。本来は甘味が増す冬が旬ともいわれますが、葉ものが少なくなる夏に需要が高まります。
体内でビタミンAに変換されるβ-カロテンが豊富です。ビタミンK、ビタミンC、貧血予防の葉酸、ビタミンB2、利尿作用のあるカリウム、丈夫な骨をつくるカルシウムも含まれます。
漢方では、ハクサイの仲間には胃腸の働きを改善する効能があり、便秘、下痢、みぞおちのつかえ、咳やイライラの解消にも効くとされています。
おいしい食べ方と保存方法
もともとは「漬け菜」の種類で、塩漬けにできます。ゆでるときは切らずに根元の白い部分を先に浸し、軟らかくなったら葉の部分を入れ、冷水にとり、水分を拭きとります。
けずり節やポン酢をかけても、ゴマやカラシであえても美味です。油揚げとの煮びたしは家庭料理の定番です。河内の伝統料理「大阪シロナとサツマイモのお付け」は、煮干しでだしをとったみそ汁です。鍋料理、中華料理、シチューにも合います。
冷蔵保存は湿らせた新聞紙などにくるみ、ポリ袋に入れ、根を下にして立てて、野菜室に。できるだけ早めに食べましょう。
冷凍保存は一度硬めにゆでて冷水に落とし、水気を切り、小分けして冷凍します。使うときは自然解凍し、汁ものは凍ったまま用います。
【「食べもの通信」6月号より転載】
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