10月の旬
ヒノナ(日野菜)
薬剤師 橋本紀代子
日に当たった部分が赤紫色で、根の部分の白色とのコントラストが鮮やかです。茎は濃い赤紫色をしています。その色彩から、「アカナ」ともよばれます。長さは20~30㎝で、細い大根のような形ですが、カブの仲間です。辛味とほろ苦さが特長です。
滋賀県日野町で、室町時代に発見されたことから「日野菜」と名付けられた、滋賀県の伝統野菜です。現在は滋賀、京都、三重などの府県で栽培されています。旬は10~12月です。
根にはでんぷんを消化する酵素「アミラーゼ」が含まれていて、消化を助け、胸焼け、胃もたれを防ぎます。
葉に多いのが、抗がん作用などがあるとされるβ-カロテン、疲労回復などに効果があるビタミンC、カルシウムやカリウムなどです。
漢方では、カブの仲間には咳、二日酔い、冷えによる腹痛を治す効果があるとされます。
おいしい食べ方と保存法
生でサラダに。ぬか漬けやピクルスにしても。温野菜にしてバーニャカウダソースで食べる、天ぷらやバター炒めにしても美味です。
甘酢漬けは「さくら漬」ともいわれ、パリっとした食感が楽しめます。ヒノナを1日天日に干し、根は短冊切りに、葉は細かく刻みます。それぞれをざるに入れて10%の塩を振り、葉は手でよく揉みます。葉と根に熱湯をかけてアクを抜き、すぐに冷水をかけ、固くしぼります。
さらに根と葉を交互に重ね、ヒノナの重さの3%の塩を振って重しをし、水が上がったら水気を切って甘酢に漬けると、すぐに食べられます。
さくら漬は冷蔵で1週間、保存できます。密閉したポリ袋に入れて冷凍すれば3カ月、保存可能です。使うさいは自然解凍で。生の葉は硬めにゆでてポリ袋に入れ、冷凍保存できます。
【「食べもの通信」10号より転載】