2023年7月25日火曜日

                 8月の旬 

             マイワシ(真鰯)

           薬剤師 橋本紀代子 

 イワシの名前の由来は、鮮度が落ちやすく「弱し」だから、またはたくさんとれて「卑し」いからなど、諸説あります。

 マイワシは体側部に黒い斑点が連なっているのが特徴です。

 春から夏には群れが北上して沿岸に近づき、秋には脂がのった「下りイワシ」が南下します。

 かつては日本の総漁獲量の3割を占めていましたが、近年は不漁が続いています。 

 マイワシにはカルシウムと、その吸収を助けるビタミンDが非常に多く、神経を修復する作用があるビタミンB12や、抗酸化作用をもつ微量元素のセレンも含まれています。

 血合い肉(筋肉のうち暗赤色の部分)はマイワシの全肉の2割近くあり、EPADHAなどオメガ3系の必須脂肪酸や、鉄分が豊富に含まれます。脂肪は酸化によって臭みに変わるので、鮮度が大事です。

 イワシは昔から虚弱体質を改善する、筋肉や骨を強くするといわれています。

おいしい食べ方

 甘辛煮は、頭と内臓を除いて流水で洗い、ぶつ切りにします。ざるにのせ、熱湯をかけて臭みをとります。しょうゆ、酒、みりんを沸騰させ、そこにイワシと千切りショウガ、または臭み取り効果のある梅干しや長ネギを入れて15分煮ます。

 さんが焼きは房総半島(千葉県)の伝統料理です。イワシを手開きして骨と皮を除いた身と、みそとみじん切りにした長ネギやおろしショウガを合わせて、なめらかになるまで包丁でたたきます。食べやすい大きさに形を整えて、油でこんがりと焼いたら、両面に青ジソをのせて余熱でなじませます。イワシのつみれ汁も人気です。

 酢みそあえは開いた身に塩を振って10分おき、水洗い後、酢に10分漬け、皮をはいだら食べやすい大きさに切り、小口切りした長ネギと酢みそであえます。

【「食べもの通信」8月号より転載】

 

0 件のコメント:

コメントを投稿