6月の旬
アユ(鮎)
薬剤師 橋本紀代子
日本で最も親しまれている川魚で、「川魚の王」「清流の女王」とよばれます。アユ釣りが解禁になるのは主に6~7月。この日を心待ちにする釣り人の姿が、目に浮かぶようです。アユといえば炉端の炭火で焼くにおいが漂ってくる気がするのは、父の思い出だからでしょうか。
アユは形が美しく、「香魚」ともよばれ、スイカに例えられる爽やかな香りがあります。
冬の間、海で動物性のプランクトンを食べ、春に河口付近に集まるまだ小さなアユを稚鮎といいます。春の若鮎は河口から川をさかのぼり、夏に川底の石に付く川苔を食べて大きくなり、秋に河口で産卵します。1年で一生を終えるので、昔の記録には「年魚」と書かれています。
北海道から九州、朝鮮半島、ベトナムなど広域に分布しています。日本で漁獲量が多いのは、神奈川県や茨城県、栃木県など。養殖も盛んで、愛知県が生産量トップです。養殖アユは大きく、身がやわらかいのが特徴です。
アユはたんぱく質、ビタミンA、ビタミンB12、ビタミンD、鉄分も豊富です。老化防止のビタミンEは、養殖アユのほうが天然アユの約4倍も多く含まれています。
漢方では病後の体力回復に良いとされています。
おいしい食べ方
アユは塩焼きに始まり、塩焼きに終わるといわれます。たっぷり塩を振り、ひれには化粧塩*をして、遠火の強火で焼きます。
白焼きしてから田楽みそを塗ったものが魚田です。
「うるか」はアユの塩辛のことで、内臓だけの塩辛を「渋うるか」、卵巣の塩辛を「子うるか」といい、お酒のお供です。
そぎ切りなどにして氷水で締める洗いには、シソの葉、穂ジソ、ショウガを添えて。
ムニエルは内臓をとらずに塩・コショウをして、小麦粉を付けてバターで焼きます。
* 指でひれをつまむように塩を付ける
【「食べもの通信」6月号より転載】
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