2023年10月2日月曜日

10月の旬

                 10月の旬

               スルメイカ

             薬剤師 橋本紀代子 

 スルメイカの干物をストーブで炙り、おやつにしていた子どものころ。「スルメ」は駄菓子屋でも買える庶民の味でした。

 日本のイカの総漁獲量1位はスルメイカとはいえ、深刻な不漁が続いています。

 スルメイカは、東シナ海からオホーツク海まで海流に乗って回遊します。地域によってとれる時期が異なるので、通年出回りますが、初夏から秋口に多く収穫されます。集魚灯が水平線に連なる漁り火は風物詩です。

 脂質の含有量が低く、低カロリーという特長があります。

 うまみのもとはグリシン、アラニン、プロリンなどのアミノ酸類です。スルメの粉にも多く含まれるタウリンはアミノ酸の一種で、コレステロールの沈着を抑えて動脈硬化を予防します。

 漢方では、イカの身は血を養い生理不順にも良いとされます。手術後の体力の衰えや耳鳴りに効果があり、腰や脚に力をつけるとされています。

おいしい食べ方

 とれたては身が透き通り、コリコリとした食感です。刺身や細切りの「イカそうめん」にして、ショウガじょうゆでいただきます。生食する場合は目視で寄生虫を必ず除きます。アニサキスはマイナス20度以下で24時間以上冷凍すれば、安全に食べられます。

 サッとゆでて、野菜と一緒に酢のものやサラダに。

 一夜干しは網で炙ってショウガじょうゆやマヨネーズで。七味トウガラシを振りかけると、一段とおいしくなります。イカリングなどの揚げものにも。

 ゴーヤ入りのチヂミやお好み焼きにはゲソが合います。

 スルメイカのワタは大きいので、ラップに包み冷凍します。刺身のように切ってワサビじょうゆで食べます。ワタに塩を振って水分を抜けば、塩辛に。

 スルメとコンブを細切りにし、たれに漬けた松前漬けも美味。

   【「食べもの通信」10月号より転載】

 

0 件のコメント:

コメントを投稿