9月の旬
サツマイモ
薬剤師 橋本紀代子
メキシコなどでは、3千年も前から栽培されていました。コロンブスの時代にヨーロッパに渡り、日本への伝来は中国経由で17世紀初頭です。最初に沖縄、鹿児島などに伝わったことから「琉球イモ」「薩摩イモ」とよばれていました。
江戸中期には救荒作物として栽培が推奨され、全国に普及。現在栽培されている品種は約60種類です。ねっとり系の「紅はるか」「安納芋」、ホクホク系の「紅あずま」「鳴門金時」などのほか、焼酎の原料にもなる「黄金千貫」などが人気です。
でんぷんのほかに甘味のもとのブドウ糖や果糖などが多く、主食にもなります。
サツマイモのビタミンCは比較的熱に強く、8割も残ります
(皮付き生25㎎ 蒸し20㎎
皮なし生29㎎ 蒸し29㎎)。
豊富な食物繊維は便秘にも有効です。サツマイモを切ったときに染み出る白い液はヤラピンで皮の近くに多く、食物繊維とともに便通を改善しますが、胸焼けの原因ともいわれます。
利尿作用のあるカリウムや骨を作るカルシウムも豊富です。 果肉が黄色いサツマイモには、β-カロテンが含まれています。
おいしい食べ方と保存法
掘り起こしたサツマイモは、洗わずに1個ずつ新聞紙に包み、10~15℃で追熟させると、でんぷんが糖化し甘味が増します。
炊飯器の釜に水1合を入れ、皮付きのサツマイモ2本を6~8個に切って入れ、炊飯のスイッチをオンにするだけで、おいしいおやつに。サツマイモご飯は、米2合、塩小さじ1、サツマイモ中1本を用意します。皮付きのまま1㎝のサイコロ状に切ってから水にさらし、米・塩と一緒に炊飯器で炊きます。
八丈島では生のサツマイモの皮をむき、薄くまたはスティック状に切って2週間ほど乾燥させたものを「きんぼし」といい、きんとんなどにします。
【「食べもの通信」9月号より転載】


