12月の旬
八つ頭
橋本紀代子 薬剤師
サトイモの一種で、子イモが親イモと分かれずに岩のような塊になっています。ホクホクした食感と独特の甘味が特長です。
お正月の縁起物とされるのは、人の頭(=リーダー)になるようになど多くの説があります。
デコボコが多くて調理が大変という短所を克服したのが「丸系八つ頭」で、2014年に埼玉県の研究所が開発しました。
八つ頭は中国を経由し、平安時代には日本に入っていました。生産量が多いのは千葉県、埼玉県。旬は12月から3月です。
水様性食物繊維のガラクタンやムチンには、免疫力を高める働きがあります。血圧降下作用のあるカリウムも豊富です。
えぐ味や、肌のかゆみのもとはシュウ酸カルシウムの針状結晶やたんぱく質分解酵素など。
漢方では、内臓の熱を取り、唾液の分泌を促し、消化を助け、慢性の便秘や下痢にも有効とされています。
おいしい食べ方と保存法
すき間まで土を洗い落とし、食べやすい大きさに切ったら、面取りを。あく抜きの下ゆで後に、ぬめりを洗い落とします。
煮しめは、だし汁に酒、みりん、砂糖、しょうゆを入れ、下ゆでした八つ頭を竹串が通るまで20~30分煮ます。
八つ頭の葉柄は「ずいき」「いもがら」といい、食用にします。
生のずいきの皮をむき30分ほど水にさらし、熱湯で2分間ゆで食べやすい長さに切り、熱いうちに甘酢に漬けると赤い色が美しく出ます。乾燥させたずいきは、ぬるま湯で30分ほど戻します。5㎝ほどに切り油揚げやコンニャクと炒め煮しても美味。
八つ頭の保存は、洗わずに新聞紙などに包み、風通しの良い冷暗所に置きます。食べやすい大きさに切ってから硬めにゆで、ぬめりを拭き取ってから保存袋に入れて、冷凍します。煮物には冷凍のまま使えます。
【「食べもの通信」12月号より転載】
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