11月の旬
橋本紀代子 薬剤師
丈は1mほどで、根元に小さいカブが付いています。
広島菜、高菜とともに「日本三大漬け菜」に数えられます。長野県野沢温泉村には、「お寺の住職が京都から持ち帰った天王寺カブの子孫」という言い伝えがありますが、DNA分析で西洋系の葉カブの変種とわかってきました。
長野県で広く栽培されるようになったので、「信州菜」ともよばれます。長野県の生産量がダントツで、10月下旬から11月下旬に収穫されます。冬の間は徳島県などで栽培・出荷されています。
体内でビタミンAに変換されるβ-カロテンが豊富で、免疫力を高め、皮膚や粘膜を丈夫にします。ビタミンC、ビタミンB群、ビタミンK、カルシウム、食物繊維も豊富です。
おいしい食べ方と保存法
間引きした葉や軟らかい葉は、さっとゆでてお浸しに。小さいカブも刻んで使いましょう。ざく切りした生の野沢菜は、油炒めや煮物に入れても美味です。
新漬け(浅漬け)は緑色が美しいのが特徴です。野沢菜の重量の約3%の塩を振りかけながら樽などに敷き詰め、コンブやトウガラシを入れ、ふたをして重石を載せ、水が上がってから2~3週間で食べられます。
時漬けは数日で食べられます。3㎝ほどの長さに切った生の野沢菜、塩昆布、トウガラシ、家庭ごとの漬け汁*を入れて重石をし、冷暗所に置きます。
べっ甲色の古漬けは2カ月以上漬け込んで乳酸発酵させたもの。漬物を細かく刻み、チャーハンや焼きうどんの具にしても。「野沢菜おやき」は古漬けを塩抜きしたあと油で炒め、しょうゆ、砂糖、酒を入れて煮詰め、生地で包んで油で焼いたあとに蒸し器で蒸します。
漬物は小分けしてポリ容器などに入れて冷凍保存できます。
【「食べもの通信」11月号より転載】
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