1月の旬
金時ニンジン
薬剤師 橋本紀代子
京料理に欠かせない食材で、「京ニンジン」ともよばれます。
金時の名前は足柄山の金太郎こと坂田金時の赤ら顔が由来。
原産地のアフガニスタンから中国を経由して江戸時代に伝来した東洋種の一種です。細く、30㎝ほどの長さがあります。
西洋種に比べてニンジン特有のにおいが少ない、肉質が軟らか、甘味が強い、煮くずれしにくいなどの特徴があります。
出回るのは11~3月ですが、12~1月が最盛期です。
香川県が全国生産量の80%以上で、中でも坂出市がその80%を占めます。(2023年)
消費量も関西が多くなっていますが、関東でもおせちに彩りを添える野菜として人気です。
赤い色はカロテノイド色素のリコペンで、強い抗酸化作用があります。β-カロテンは西洋ニンジンの6割ほどですが、鉄分、カルシウムなどは西洋種より多く含まれています。
漢方の薬物書にはニンジンは「益あって損なし」のお墨付きが。
おいしい食べ方
金時ニンジンのジュースは、甘くて飲みやすいと評判です。
炊きこみピラフは、といだ米にすりおろした金時ニンジン、すりおろしニンニクとバターで炒めたむきエビ、シメジ、顆粒コンソメ、水を加えて炊飯器で炊きます。
洋食の付け合わせにグラッセはいかがでしょう。皮をむき、食べやすい大きさに切ってから面取りし、水、砂糖、塩、バターで蓋をして10分煮て、さらに汁気がなくなるまで煮詰めます。
ナムルは、千切りにしたニンジンに塩を適量入れ、5分経ったら水分をしぼります。すりおろしニンニク、塩コショウ、ゴマ油、すりゴマを合わせてニンジンとあえます。紅白なます、松前漬け、煮しめ、キンビラゴボウにも。
香川県の郷土料理「あんもち雑煮」は白みそ仕立てで、あんもちに輪切りにして煮た金時ニンジンや大根などを添えます。
【「食べもの通信」1月号より転載】
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