2017年6月19日月曜日

       6月の旬 パクチー
                     薬剤師 橋本紀代子      

  独特の香りと豊富な栄養があり、「くせになる」と人気沸騰中です。「パクチー」はタイ語。中国では「香菜」、中南米では「シラントロ」、英語では「コリアンダー」とよばれます。中国パセリ、カメムシソウの別名も。
 葉、茎、根をハーブや葉菜として用います。花が咲いたあとにつく果実は柑橘系の香りで、漢方薬のほか、カレー、ラタトゥイユ、アップルパイなどのスパイスに用いられます。マイルドパクチー(岡山パクチー)という品種は香りが控えめで、甘味があり、茎が軟らかいことから食べやすいと注目されています。
 パクチーの原産地は地中海東部沿岸といわれ、古代文明の栄えたエジプト、ギリシャ、ローマ時代から栽培されてきました。日本での栽培は1980年代からで、現在の産地は静岡県、岡山県など。旬は3~6月ですが、温室栽培で1年中出荷されています。
 香りのもとはピネン、デカナールなどの精油で、若い葉や根に多く含まれています。消化や腹部膨満感を改善し、気分を落ち着かせます。βーカロテン、ビタミンEB2、美肌効果のあるビタミンCも豊富です。

おいしい食べ方と保存方法
 ベトナム料理のフォーや生春巻きに欠かせません。スープ、みそ汁、鍋料理には、茎や葉、根も用います。タイの代表的なスープ「トムヤムクン」には、根を軽く叩いて入れます。
 サラダやギョウザ、チャーハン、焼きそば、チヂミ、かき揚げ、パスタのソースにしても美味。パクチーしょうゆやドレッシングにも応用できます。
 保存は湿らせたキッチンペーパーで包み、ポリ袋に入れて冷蔵庫に。根は刻んで冷凍します。
【「食べもの通信」6月号より転載】