2022年10月4日火曜日

10月の旬

        10月の旬

       ヒノナ(日野菜)

              薬剤師  橋本紀代子

 日に当たった部分が赤紫色で、根の部分の白色とのコントラストが鮮やかです。茎は濃い赤紫色をしています。その色彩から、「アカナ」ともよばれます。長さは2030㎝で、細い大根のような形ですが、カブの仲間です。辛味とほろ苦さが特長です。

 滋賀県日野町で、室町時代に発見されたことから「日野菜」と名付けられた、滋賀県の伝統野菜です。現在は滋賀、京都、三重などの府県で栽培されています。旬は1012月です。

 根にはでんぷんを消化する酵素「アミラーゼ」が含まれていて、消化を助け、胸焼け、胃もたれを防ぎます。

 葉に多いのが、抗がん作用などがあるとされるβ-カロテン、疲労回復などに効果があるビタミンC、カルシウムやカリウムなどです。

 漢方では、カブの仲間には咳、二日酔い、冷えによる腹痛を治す効果があるとされます。

おいしい食べ方と保存法

 生でサラダに。ぬか漬けやピクルスにしても。温野菜にしてバーニャカウダソースで食べる、天ぷらやバター炒めにしても美味です。

 甘酢漬けは「さくら漬」ともいわれ、パリっとした食感が楽しめます。ヒノナを1日天日に干し、根は短冊切りに、葉は細かく刻みます。それぞれをざるに入れて10%の塩を振り、葉は手でよく揉みます。葉と根に熱湯をかけてアクを抜き、すぐに冷水をかけ、固くしぼります。

 さらに根と葉を交互に重ね、ヒノナの重さの3%の塩を振って重しをし、水が上がったら水気を切って甘酢に漬けると、すぐに食べられます。

 さくら漬は冷蔵で1週間、保存できます。密閉したポリ袋に入れて冷凍すれば3カ月、保存可能です。使うさいは自然解凍で。生の葉は硬めにゆでてポリ袋に入れ、冷凍保存できます。

【「食べもの通信」10号より転載】

        9月の旬

         ナツメ       

薬剤師 橋本紀代子 

リンゴのような形で、重さは5gほど。中国には30g超の大きな実をつける種類もあります。かじるとリンゴに似た食感で、甘酸っぱい味がします。

 「ナツメ」とよばれるのは、夏に木の芽が出るから。抹茶を入れる茶道具「ナツメ」は、ナツメの果実と形が似ていることから名付けられました。

 中国には「13個食べると老化しない」という言い伝えがあり、路地やスーパーなどで山積みにして販売されています。

 日本には奈良時代に入ってきたといわれています。生産量が多いのは福井県で、旬は910月。干しナツメは中国などから大量に輸入されています。 

 生のナツメは、肌の健康に良いビタミンCを多く含有。干しナツメに多いパントテン酸はストレスへの抵抗力を高め、心身の疲れに有効です。カリウム、マグネシウム、リン、貧血予防に効果的な鉄、食物繊維などが多いのも干しナツメです。

 漢方では乾燥させた果実を大棗(たいそう)といい、葛根湯など多くの処方に配合されます。際立つのは精神安定作用で、不安やイライラに効果があるとされています。体を温め、元気が出るなどの働きもあります。

おいしい食べ方と保存法

 熟した果実を水で洗い、皮ごとかじって食べます(種は出す)。

レモン煮は、鍋に生の果実500g、水1ℓ、てんさい糖200gを入れてふたをし、弱火で30分コトコト煮ます。レモン1個分の果汁を加えてさらに10分煮るとできあがりです。

 干しナツメはそのままお茶受けに。中国では種を除き、クルミを挟んだお菓子が有名で、自然な甘さが魅力です。刻んだ干しナツメ510gをお茶パックに入れ、1ℓの熱湯を注いで15分置くと「ナツメ茶」になります。

 生の果実はポリ袋に入れて、冷蔵庫の野菜室で保存します。なるべく早めに食べましょう。

【「食べもの通信」9号より転載】