2016年8月23日火曜日

『食べもの通信』8月号転載
「今月の旬」
          ツルムラサキ
                                                       薬剤師 橋本紀代子
ツルムラサキは、若い葉やつるを食用にします。旬は710月。独特の香りとぬめりが特徴です。つるの色が赤紫色の赤茎種と、緑色の青茎種があります。
熱帯アジア原産で、中国での名前は落葵(らくき)です。明の時代(16世紀)の記録によると若芽を食べ、実の搾り汁は唇や頬に塗って化粧したり、布の染料に用いたとされています。
江戸時代には、野菜として推奨されたものの普及せず、主な用途は染料や観賞用でした。栽培が盛んになったのは、1970年代の日中国交回復の後から。現在の主な産地は福島、宮城、徳島の各県などです。
ぬめりの成分であるムチンには、胃腸の粘膜を保護し、胃の炎症を鎮める働きがあります。
カロテン、ビタミンEKB2C、葉酸、食物繊維、カルシウム、鉄分を多く含みます。疲労回復や便秘の解消に役立ち、肌をきれいにする働きも。また、ルチンやカリウムも多く、利尿、高血圧予防の効果も期待できる「スーパー野菜」です。 
おいしい食べ方と保存法
ゆでるときはつると葉を別々にして、つるは1分ほど、葉は20秒ほど煮て、冷水につけます。
ゆでたツルムラサキに、ゴマ油、塩、酢を加え、指でつぶした炒りゴマをあえると韓国風ナムルになります。ポン酢、酢みそ、カレー味も合います。ゴマ油とニンニクで炒めると、独特の香りが気になりません。
お茶にする場合は、1㎝の長さに切って2日間天日干しにしてから、フライパンで茶色になるまで弱火でカラ炒りにします。
保存は湿らせた新聞紙などに包み、ポリ袋に入れ、冷蔵庫で23日です。ゆでてから冷凍も。


(プロフィール前号流用)

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