2016年9月5日月曜日

   9月の旬  赤トウガラシ
                                  薬剤師 橋本紀代子

赤トウガラシは辛味が強く、鷹の爪、本鷹、八房(やつふさ)、三鷹(さんたか)、熊鷹など、たくさんの品種があります。収穫は810月。「南蛮辛子」「南蛮胡椒」「ナンバン」「コショウ」などと呼ぶ地域も。
  一味や七味トウガラシなど薬味としても用いられます。インドのカレー、タイのトムヤムクン、四川料理の麻婆豆腐、韓国のキムチなどにも赤トウガラシは欠かせません。
 原産地は中南米で、紀元前から栽培されてきました。日本への伝来は、16世紀のポルトガル人による南蛮貿易説、秀吉の時代に朝鮮から持ち帰ったなど、諸説あります。
 北海道、東京都、大分県などが産地ですが、国内生産量は激減し、中国、韓国などからの輸入量が多くなっています。
 赤い色はカプサンチンというカロテノイド色素の一つで、抗酸化作用があります。
 辛味のもとはカプサイシンという物質です。中枢神経系を刺激し、副腎からのアドレナリンの分泌を促して体脂肪を燃焼させるので、肥満防止に効果があります。ただし、食べ過ぎは胃腸を荒らします。
 トウガラシは、漢方では蕃椒(ばんしょう)と呼ばれ、厚生労働省の公定書「日本薬局方」にある医薬品です。体を温め、発汗を促し、食欲を増進させます。また、冷えが原因の神経痛などに、湿布薬として用います。
調理のコツと保存法
 炒めもので使うさいには、油と赤トウガラシを鍋に入れて弱火で炒め、辛味と香りが出たら取り出すのがコツです。
 保存するさいは、傷みやすいのでよく乾燥させ、密閉容器に入れましょう。

(「食べもの通信」9月号より転載)

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