2020年9月1日火曜日

                                                 9月の旬

                                              イチジク

                                                           薬剤師 橋本紀代子

   イチジクの果実を割ると、つぶつぶの花が見えます。外側からは花が見えないので、「無花果」と書いてイチジクと読みます。夏果は67月、秋果は810月に出回りますが、日本での栽培の多くは秋果です。欧米や中東ではよくドライフルーツにします。

  原産地は現在のトルコあたりで、地中海沿岸の国ぐにでは紀元前から栽培されています。日本に伝えられたのは江戸時代初期。北海道を除く全国で栽培され、現在のおもな産地は愛知、和歌山、福岡などの各県です。

 水溶性食物繊維のペクチンが含まれています。ペクチンは便秘を予防し、コレステロール値や血糖値の上昇を抑えます。酸味のもとはクエン酸で、疲労回復に効果があります。ほかにビタミンE、カリウム、カルシウムなどが含まれています。

 香り成分のベンズアルデヒドやフラボノイドの「アントシアニン」には、がんを抑制する働きがあります。果実から出る白い乳液には、たんぱく質分解酵素「フィシン」が含まれており、ローストビーフ、焼肉などにイチジクを添えると、肉のたんぱく質の消化を助けます。

 漢方では胃の働きを良くし、下痢を止め、痔や喉の痛みに効果があるとされています。

 

おいしい食べ方と保存方法

 生食するときは、切ってスプーンですくいます。バナナのように皮をむいて食べても。崩した豆腐と合わせると白あえになります。硬いものは天ぷらに。

 イチジクの甘露煮は、水を使わず砂糖だけでじっくり煮込みます。ペクチンが多いので、ジャムにも向いています。生の果実はたんぱく質分解酵素で、ゼラチンを入れても固まらないため、ゼリーを作るときは加熱したジャムを使います。

 保存はポリ袋に入れ、冷蔵庫で2~3日。冷凍保存するときは、皮をむいてラップに包みます。

【「食べもの通信」9月号より転載】

 

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